脂肪組織と慢性痛の関係性

脂肪と痛みの意外な関係|慢性痛を引き起こす「もう一つの原因」とは?
腰痛や坐骨神経痛などの慢性的な痛みに悩む方は非常に多くいらっしゃいます。
こうした慢性痛に対しては、一般的に「姿勢」や「筋肉の硬さ」「運動不足」などが原因として挙げられますが、実は近年の研究で「脂肪組織」も重要な要因であることが分かってきています。
「え?脂肪と腰の痛みって関係あるの?」と思う方も多いかもしれませんが、体内の脂肪、特に内臓脂肪や皮下脂肪が一定以上増えることで、慢性的な炎症反応が起こりやすくなり、痛みの感受性が高まるのです。
脂肪は単なる「エネルギーの貯蔵庫」ではありません。
実は脂肪細胞はサイトカインと呼ばれる炎症性物質を分泌する「内分泌器官」としての役割も担っています。中でも、TNF-α(腫瘍壊死因子α)やIL-6(インターロイキン6)といったサイトカインは、体内の炎症レベルを高め、痛みを感じる神経の過敏性を引き起こすことが明らかになっています。
また、米国国立衛生研究所の研究によると、肥満の人は正常体重の人に比べて、慢性疼痛を訴える割合が2倍近く高いとされています。これは、単純に体重の負荷が関節や骨にかかっているからだけでなく、脂肪細胞由来の炎症が体全体の痛みの感じ方に影響しているためです。
加えて、最近では「高脂肪食が痛みを増幅させる可能性」についての動物実験も行われています。ある研究では、高脂肪食を与えられたマウスは、術後の炎症反応が強く、痛みの回復も遅れる傾向があることが示されました。これは、高脂肪食が神経系や免疫系のバランスを崩し、回復力を低下させるためだと考えられています。
一方で、抗炎症効果のある食材を意識的に取り入れることで、痛みの軽減が期待できるという報告もあります。オメガ3脂肪酸を多く含む青魚や亜麻仁油、ポリフェノール豊富なベリー類、野菜やナッツ類などを取り入れることで、体内の炎症反応を穏やかにし、痛みに強い身体づくりに役立つとされています。
もちろん、脂肪が多いからといって「すぐに痛みが出る」わけではありません。ただ、体内の代謝状態や血流、ホルモンの働きが乱れてくると、じわじわと「痛みの土壌」ができてしまうということです。
当院では、整体の技術だけでなく、食事・血糖・ホルモンバランスの観点からも慢性痛にアプローチしています。特に、長年腰痛に悩み、整形外科でも「異常なし」とされた方の中には、体内の炎症反応が高いことが原因だったというケースも多くあります。
「運動もしているのに、なぜか痛みが取れない」
「治療を受けても、すぐに元に戻る」
そんな方こそ、今一度「脂肪と痛みの関係」に目を向けてみてください。
日々の食事、生活習慣を少し変えるだけで、痛みの感じ方が変わる可能性は十分にあります。
慢性痛は、「生活の質(QOL)」に直結する大きな問題です。だからこそ、表面的な痛みだけでなく、その根底にある「炎症体質」「代謝バランス」を見直すことが、根本的な改善につながると私は考えています。
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研究論文要約
慢性痛と運動療法の関係性についての研究について研究を解説

【論文要約】慢性腰痛に整体は効果あり? 専門家も認めるエビデンスをご紹介
「マニピュレーション療法」と「モビライゼーション療法」
整体が腰痛に効果があるのかを化学的に解説

慢性痛の原因とは?
「慢性痛」とは3ヶ月以上続く痛みのことを指し、多くの場合原因が特定しにくい不調とされています。