肩の痛みと内臓トラブルの意外な関係
「いつも肩が重苦しい」
「マッサージに行っても、その時しか楽にならない」
……そんな慢性的につらい肩の悩みを抱えていませんか?
当院にも、どこに行っても良くならず「もう手術しかないのかな」と不安な気持ちでご相談に来られる方がたくさんいらっしゃいます。実は、その長引く肩の痛みは、単なる筋肉の疲れや使いすぎではなく、「内臓からのSOS」かもしれません。
今回は、最新の医学的知見をもとに、肩の痛みと内臓(胃、膵臓、代謝の乱れなど)の深い関係について、当院が大切にしている「内側からのケア」の視点を交えて分かりやすく解説します。
1.内臓の負担が「肩」の痛みを産む?(関連痛のメカニズム)
内臓の異常が、原因のある場所とはまったく別の「肩」などの痛みとして現れる現象を「関連痛(かんれんつう)」と呼びます。
特に肩の関連痛は、呼吸を支える「横隔膜(おうかくまく)」への刺激が原因で起こることがよく知られています。
横隔膜の感覚を脳に伝える「横隔神経」と、肩周辺の皮膚や筋肉・関節の感覚を伝える神経は、背骨の同じ高さ(頚髄C3〜C5)で脳へと繋がっています。
そのため、横隔膜の周りにある臓器にトラブルが起きると、神経の信号が途中で混線してしまい、脳が「肩が痛い!」と勘違いを起こしてしまうのです。
つまり、痛みの原因が内臓にある場合、いくら肩の筋肉を外側から揉みほぐしても、根本的な解決にはならないのです。
2.食後に左肩が痛む?「胃の膨張」による関連痛
肩の痛みが「食事のタイミング」と連動して起こるという、一見不思議なケースも報告されています。
ある52歳の男性は、20年以上にわたって「たくさん食事をとった直後にだけ、左肩の奥深くから首にかけて、えぐられるように痛む」という症状に悩まされていました。姿勢を変えても、マッサージや痛み止めを使っても効果がなく、食後30分ほど経つと自然に消えるのが特徴でした。
詳しい検査の結果、体の中に病気は見つからず、この痛みは「食べすぎによって膨らんだ胃が、一時的に横隔膜を押し上げて刺激したため」に生じた関連痛であると分かりました。
筋肉や骨といった「外側の問題(アウター)」に見当たらない肩の痛みは、日頃の食事量や胃の負担という「内側の問題(インナー)」が隠れている可能性があります。
3. 激しい腹痛と左肩の痛みは危険信号!(膵臓と脾臓の問題)
急性膵炎などの重篤な内臓疾患も、腹部の強い炎症を通じて肩の痛みを引き起こすことがあります。膵臓と脾臓(ひぞう)は解剖学的に非常に近い位置にあるため、膵臓の深刻な炎症は脾臓にも波及しやすくなります。
これが進行すると、まれに非外傷性(ケガをしていないのに)で脾臓が破裂し、腹腔内に血液などが漏れ出ることがあります。この漏れ出した血液などが腹腔内を刺激すると、左肩の先端に強い痛み(Kehr徴候:ケル徴候)が現れます。膵炎を患っている際に生じる左肩の痛みは、脾臓破裂などの致命的な事態を示唆する極めて重要な警告サインです。
【ここから重要な仮説の話】
こうした「内臓の異常が体表(肩など)の痛みとして現れる」という現象をさらに深掘りしていくと、「内臓への慢性的な負担そのものが、体表の痛みを引き起こしているのではないか?」という重要な仮説に行き着きます。
実は、慢性膵炎などのように内臓への負担や炎症が長期間続くと、内臓の神経から脊髄に向けて絶え間なくSOSのシグナルが送られ続けます。すると、痛みを中継する脊髄の神経ネットワークが「過興奮状態(中枢性感作)」に陥ってしまいます。内臓の神経と、肩などの体表の神経は、脊髄の同じ場所で交わっています。そのため、内臓の負担によって脊髄のシステム全体が過敏になると、関連痛の範囲が拡大したり、体表へのちょっとした刺激でも強い痛みとして感じるようになったりするのです。
つまり、私たちが日頃感じている「ただの肩こり」や「体表の痛み」の中には、その根本に「内臓が抱え込んだ負担(炎症やストレス)」が隠れており、それが神経の混線を介して表面化しているケースが少なからず存在すると言えるのです。
4.神経だけじゃない!「高血糖」が肩の腱をボロボロにする
ここまでは神経の混線(関連痛)による痛みを紹介しましたが、内臓の代謝の乱れ(血糖値のコントロール不全など)が、「肩の組織そのもの」を物理的に脆くさせてしまうことも分かっています。
慢性的な高血糖状態が続くと、体の中に「AGEs(終末糖化産物)」と呼ばれる物質が過剰に蓄積します。これは、体の中が「砂糖漬け」になって焦げ付いてしまうような状態です。この焦げ付きが、炎症や酸化ストレスを引き起こします。
AGEsは腱のコラーゲン構造を破壊し、しなやかな柔軟性を奪ってプラスチックのように脆くしてしまいます。その結果、肩を支える大切なインナーマッスル(回旋筋腱板)が断裂するリスクや、手術をした後に再び破れてしまうリスクが有意に高まることが最新の論文でも指摘されています。
内科的な代謝の問題、つまり「お腹の中の環境」が、肩の治らない痛みや機能障害の直接的な引き金になっているのです。
まとめ
あなたのその長引く肩の痛みは、単なる使いすぎや運動不足のせいだけではないかもしれません。
骨格のバランスを整える「アウターケア」だけでなく、内臓の負担を減らし血糖値を安定させる「インナーケア(体質改善)」が絶対に欠かせません。
当院では、これらを組み合わせた「第3の選択肢」で、あなたの体が内側から本来の修復力を取り戻せるよう、痛みの根本改善ロードマップを一緒に描いていきます。
「もう手術しかない」と諦めてしまう前に、まずはあなたの体が内側から出しているSOSのサインに、一緒に耳を傾けてみませんか?
伊那市・南箕輪村の根本改善専門整体 ゆらぎ健康調整院 090-8326-9167
※当院は最新のエビデンスに基づき、外側と内側の両面からあなたの健康をサポートします。
【References / 関連一次情報ソース】
本記事で解説した「内臓体性反射による左肩痛」および「膵臓の生化学的負荷と疼痛過敏」に関する主な参考文献・研究潮流は以下の通りです。
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Drewes, A. M., et al. Topic: Central sensitization and referred pain in chronic pancreatitis. (デンマーク・オルボー大学のDrewes教授らによる、内臓痛が脳・脊髄の過敏化を招き、広範な放散痛を引き起こすメカニズムに関する一連の研究論文)
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Clinical Evidence: Kehr's Sign in Gastroenterology Topic: Anatomical convergence of the phrenic nerve (C3-C5) and shoulder somatosensory pathways. (左横隔膜への刺激が横隔神経を経由し、脊髄後角での神経収束によって左肩の放散痛を誘発する解剖学的・臨床的エビデンス)
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Friess, H., et al. / Neuro-immune interactions in pancreatic diseases Topic: Upregulation of TRPV1/TRPA1 and nerve growth factors in pancreatic tissue. (ドイツ・ミュンヘン工科大学等の研究。膵臓への化学的・機能的ストレスが、痛み受容体TRPA1等を過敏化させ、後腹膜および周辺筋膜の緊張を微小炎症レベルから増幅させる基礎研究)