「鉄は血液のためだけでなく、痛みをコントロールする“神経の燃料”。
現代人に増える隠れ鉄欠乏の正体をわかりやすく解説します。」
慢性的な腰痛や肩こり、頭痛などに悩む方の多くが、実は「鉄不足」の傾向にあります。
鉄といえば“貧血”のイメージが強いですが、実はそれだけではありません。
鉄は、神経・筋肉・脳の働きに深く関わるミネラルで、
不足すると「痛みを感じやすい体質」になってしまうのです。
◾️鉄は“エネルギーと神経”を動かす燃料
鉄は血液中で酸素を運ぶだけでなく、
全身の細胞でエネルギーを作るときにも使われています。
たとえば、筋肉や脳では「ミトコンドリア」という器官が酸素を使ってATPというエネルギーを作っていますが、
その酵素の中心に鉄が存在します。
鉄が足りないと細胞のエネルギー産生が落ち、
筋肉の回復が遅れたり、神経が過敏になったりして、慢性的な疲労や痛みが出やすくなります。
◾️痛みを抑える“ブレーキ”にも鉄が必要
私たちの体には、痛みをコントロールする仕組みがあります。
それが「下行性疼痛抑制系」と呼ばれる、脳から痛みを抑える神経のブレーキです。
痛みの信号は、まず脊髄を通って脳に伝わりますが、
脳は同時に“痛みを弱める信号”を逆方向に送り返しています。
この働きによって、同じ刺激でも「そこまで痛く感じない」という調整が行われているのです。
この抑制の信号を伝えるために必要なのが、セロトニンやドーパミンなどの神経伝達物質。
そして、これらの合成には鉄が必須です。
つまり、鉄が不足すると「痛みを抑えるブレーキ」が効かなくなり、
同じ刺激でも痛みを強く感じてしまうのです。
◾️鉄不足を悪化させる「糖質過多とタンパク質不足」
現代人の多くは、白米・パン・お菓子などの“糖質中心の食生活”になりがちです。
その一方で、肉や魚・卵といった“タンパク質源”が不足しています。
このバランスが崩れると、鉄の働きが大きく乱れます。
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糖質の摂りすぎ → インスリンが過剰に分泌され、鉄を細胞内に閉じ込めてしまう
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タンパク質不足 → 鉄を運ぶトランスフェリンや貯めるフェリチンが作れない
この状態を「機能的鉄欠乏」と呼びます。
血液検査では貧血でなくても、体の中では鉄が回らず、
エネルギー不足・集中力低下・慢性痛といった症状が出やすくなるのです。
◾️女性と男性、それぞれの鉄不足の特徴
⚫︎女性の場合
月経や妊娠・出産で鉄の需要が高く、もともと不足しやすい体質です。
さらに「食事を軽く済ませる」「ダイエットをしている」といった習慣が重なることで、
鉄とタンパク質の両方が慢性的に足りなくなります。
→ 結果、肩こり・頭痛・倦怠感・イライラなど、痛みや不調が続くことが多くなります。
⚫︎男性の場合
男性は出血が少ない分、鉄不足の自覚は少ないですが、
実は糖質過多・アルコール摂取・ストレスが主な原因になります。
肝機能の低下や炎症によって、鉄を貯める「フェリチン」が減少し、
“隠れ鉄欠乏”が進行するケースも少なくありません。
→ 結果、筋肉疲労が抜けない・朝からだるい・集中できないといった症状につながります。
◾️なぜ現代人はここまで鉄が足りなくなったのか?
背景には、社会全体の食生活の変化があります。
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精製食品・コンビニ食の普及(鉄を含む食材の減少)
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カロリーを気にするあまり、タンパク質摂取が減少
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ストレス・睡眠不足により、鉄吸収を妨げるホルモン(ヘプシジン)が上昇
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外食・加工食品による腸内環境の悪化
つまり、“鉄が足りない”のではなく、鉄を使いこなせない生活習慣になっているのです。
◾️痛みを減らすための「鉄の整え方」
| :鉄が少ない :タンパク質不足 :糖質過多 :吸収力が低下 問題:睡眠・ストレス |
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鉄を「足す」だけでなく、「巡らせる」「働かせる」ことが大切です。
そのためには、糖質とタンパク質のバランスを見直すことが何よりの第一歩です。
鉄は血液だけでなく、神経・筋肉・脳の働きに欠かせない栄養素。
特に「痛みを抑えるブレーキ(下行性抑制)」を動かすために必要な物質です。
鉄が足りない体は、ブレーキの効かない車のようなもの。
糖質を減らし、タンパク質と鉄を整えることで、
痛みを感じにくく、エネルギーのある体を取り戻せます。
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