脊柱管狭窄症による“間欠性跛行”について
「歩くと痛い。でも、休むと楽になる」——その謎を解くカギは“血流”?
「10分くらい歩くと足がしびれて立ち止まってしまう。でも、しばらく休むとまた歩ける。」
これは、脊柱管狭窄症(せきちゅうかんきょうさくしょう)に多く見られる間欠性跛行(かんけつせいはこう)という症状です。
私の整体院にも、同じ悩みを抱える方が数多く来られます。
不思議なことに、MRIで脊柱管がかなり狭くなっていても、痛みの少ない方がいる一方、
画像ではほとんど変化がないのに、強いしびれに悩む方もいるのです。
■ 画像では説明できない“痛み”
2020年代の研究(Fujii et al., Spine Journal, 2019)では、
「MRI上の狭窄の程度と症状の強さには相関がない」と報告されています。
つまり、“狭く見える=痛い”ではないのです。
その違いを生むのが、神経の血流(虚血)と神経の過敏化(中枢性感作)です。
歩行中は腰が反ることで脊柱管が狭まり、神経を養う血管が圧迫されます。
このとき神経は一時的な酸欠状態になり、「しびれ」や「痛み」としてSOSを出す。
前かがみで休むと、トンネルが広がって血流が戻り、痛みが和らぐ——
これが「歩くと痛い、休むと楽になる」メカニズムです。
■ “神経が弱い”のではなく、“血流が止まっている”
「神経が傷んでいる」と思いがちですが、実際はそうではありません。
神経自体が「酸欠で悲鳴を上げている」状態なのです。
この神経虚血の現象は、糖尿病性神経障害や長時間の正座でも似たことが起こります。
つまり、血の巡りが悪くなるだけで神経は痛みを感じるということ。
特に中高年では、筋肉の柔軟性低下や呼吸の浅さで
腰まわりの血管やリンパの流れが滞りやすくなります。
そこに姿勢のクセ(反り腰・猫背)が重なると、神経が「挟まれたまま酸欠」に。
実際の患者様のケース 70代女性
「痛みがひどく100メートルも歩けない」と言われ来院されました。
初回は腰やお尻の筋肉がガチガチで、痛みの影響もあって呼吸も浅い状態でした。
施術開始直後は、全身の慢性炎症も強く、ちょっと触れるだけで、激痛な状態でした。
まず、身体の炎症を抑えるために、食生活の改善を提案。
しばらく、精製食品・加工食品を控えてもらい、水をしっかり摂ってもらいました。
施術を重ねるにつれ少しずつ圧痛も減弱、呼吸のトレーニングと骨盤周りの可動域調整を続けるうちに、徐々に歩行距離が延び、2ヶ月後には買い物にも問題なく行けるようになりました。
結果としてMRI上の骨の“狭さ”は変わっていませんが、症状は劇的に改善したケースです。
大きく変わったのは、「体の使い方」とそれに伴う「血流」です。
■ 間欠性跛行の本当の治療
大切なのは、神経を守る環境をつくることです。
それは「手術」よりも、「自分で動いて血液を流す」ことです。
具体的には——
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前かがみで深呼吸を繰り返し、背中とお腹を同時に動かす
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股関節と骨盤の動きを連動させる(“腰で反らない”体づくり)
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長く座る時は、こまめに立ち上がり、軽く前屈をして血流を戻す
こうした日常動作の積み重ねが、神経を再び“呼吸できる状態”に戻します。
間欠性跛行は「老化」ではなく、血流の乱れによっておきている事実をわかっていただけたでしょうか?
神経の酸欠を防ぎ、体全体の循環を整えることで、
歩ける距離は必ず伸びていきます。
年齢ではなく、「血の流れ」で体を語る時代に。
今日も、自分の体と対話するように一歩ずつ歩いていきましょう。
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